【観光協会・DMO】データ活用で売上アップを実現した成功事例
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【観光協会・DMO】データ活用で売上アップを実現した成功事例

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観光協会・DMOがデータ活用で売上アップを実現する理由

美しい自然、豊かな歴史、独自の文化、そして温かい人々。観光地の魅力は多岐にわたりますが、変化の激しい現代において、勘と経験だけに頼った観光振興には限界があります。少子高齢化、旅行スタイルの多様化、そして予期せぬパンデミックなど、観光を取り巻く環境は常に変化し、観光客のニーズも細分化しています。

かつては「良いものを提供すれば、お客様は自然と来てくれる」という考え方も通用しましたが、今は違います。情報過多の時代において、観光客は自分にとって価値のある、パーソナライズされた体験を求めています。このような状況で、地域経済への貢献、観光客満足度の向上、そして持続可能な観光地経営を実現するためには、客観的なデータに基づいた戦略が不可欠です。

本記事では、観光協会やDMOがどのようにデータを活用し、具体的な売上アップ、ひいては地域経済の活性化に成功したのか、3つの具体的な事例を交えてご紹介します。データ活用の重要性を理解し、貴地域の観光振興に役立つヒントを見つけてください。

データ活用が観光協会・DMOにもたらす変革とは?

観光協会やDMOは、地域の観光資源を最大限に活かし、誘客促進と地域経済活性化を担う重要な存在です。しかし、その役割は年々複雑化し、従来のやり方だけでは対応しきれない場面が増えています。データ活用は、その役割をより効果的かつ効率的に果たすための強力なツールとなります。

なぜ今、データ活用が求められるのか

今、観光協会・DMOにデータ活用が強く求められる背景には、主に以下の3つの理由があります。

  • 観光客ニーズの多様化と変化の速さ: かつての団体旅行中心の時代から、個人旅行、体験型旅行、ワーケーション、サステナブルツーリズムなど、旅行者が求める体験や情報は常に変化しています。特定の層にだけ響く画一的なプロモーションでは、多様化するニーズを捉えきれず、多くの潜在顧客を取りこぼしてしまいます。データ分析によって、ターゲット層の年齢、性別、趣味嗜好、旅行スタイルなどを詳細に把握し、個々のニーズに合わせたオーダーメイドの情報提供や体験プログラム開発が可能になります。
  • 効果的なプロモーション戦略の必要性: 観光協会やDMOは、広告費や人的リソースが限られていることが多く、無尽蔵に予算を投じることはできません。そのため、費用対効果の高いプロモーションを展開することが極めて重要です。データに基づかないプロモーションは、手探りの状態で暗闇を進むようなものです。データ活用により、どのターゲット層に、どのチャネルで、どのようなメッセージを届ければ最も効果的かを見極め、限られた予算とリソースを最大限に活かす戦略を構築できます。
  • 限られた予算での最大効果の追求: 地域経済の活性化という大きなミッションを背負う中で、予算の制約があるのは常に頭の痛い問題です。無駄なく、最大の効果を生み出す施策を打つためには、勘や経験だけでなく、客観的なデータに基づいた意思決定が不可欠です。データは、どの施策が成功し、どの施策が失敗したのかを明確にし、次なる改善へと繋げるための羅針盤となります。これにより、PDCAサイクルを高速で回し、継続的に観光振興の質を高めていくことが可能になるのです。

どんなデータが活用できるのか

観光協会やDMOが活用できるデータは多岐にわたり、これらを組み合わせることで、より多角的な分析が可能になります。

  • 観光客属性データ: 誰が訪れているのかを把握するための基本情報です。年齢層、居住地(都道府県別、国籍別)、性別、旅行形態(一人旅、カップル、家族、グループ)、旅行目的(レジャー、ビジネス、イベント参加など)などが含まれます。アンケート調査、宿泊施設での情報収集、Webサイトの会員登録データなどから得られます。
  • 行動データ: 観光客が「何をしたか」を詳細に分析するデータです。特定の観光施設での滞在時間、利用した交通機関(バス、電車、レンタカー)、消費行動(どこで何にいくら使ったか)、Webサイトの閲覧履歴、SNSでの発信内容(ハッシュタグ、投稿写真)などが該当します。これらのデータは、観光客の興味関心や行動パターンを浮き彫りにします。
  • 宿泊・予約データ: 地域の宿泊施設やアクティビティの予約状況、利用期間、キャンセル率などから、需要の変動や人気傾向を把握します。特定の時期に予約が集中する理由、特定のプランが人気を集める理由などを分析することで、閑散期対策や人気プランの拡充に役立てられます。
  • 交通データ: 交通系ICカードの利用履歴、レンタカーの利用状況、観光バスの乗降データなどから、観光客の移動ルートや滞在エリアを分析します。これにより、交通インフラの課題や、観光客が立ち寄りにくい場所などを特定し、周遊ルートの改善や新たな交通手段の検討に繋げられます。
  • SNS・口コミデータ: Twitter、Instagram、FacebookなどのSNSにおける特定の観光地や施設に関する投稿、ブログ記事、旅行サイトの評価や口コミなどを分析します。テキストマイニングや感情分析を行うことで、観光客の本音、満足度、不満点、魅力に感じているポイントなどを把握し、サービスの改善や新たな魅力発信に活かせます。

【観光協会・DMO】データ活用で売上アップを実現した成功事例3選

ここでは、実際にデータ活用によって売上アップや地域経済活性化に成功した観光協会・DMOの事例を3つご紹介します。

事例1:地方都市の観光協会による「ターゲット層向け周遊パス」開発

ある地方都市の観光協会では、長年、日帰り観光客が多く、宿泊を伴う周遊が少ないという課題を抱えていました。特に、若年層の取り込みに苦戦しており、地域全体の観光消費額が伸び悩んでいました。観光客の滞在時間が短く、特定の有名観光スポットだけを訪れて帰ってしまう傾向が強く、地域全体への経済波及効果が薄いことに、事務局長のA氏は頭を抱えていました。

A氏は、この状況を打開するため、観光客アンケート、SNS分析、そして地域内の交通系ICカードの利用データを統合して分析を開始しました。アンケート結果からは、若年層が「映える写真」や「限定スイーツ」を求めていることが示唆され、SNS分析では、特定のインスタグラムアカウントが発信するカフェや体験型施設への言及が多いことが判明。さらに、交通系ICカードの利用履歴を詳細に分析したところ、20代〜30代前半の女性層が、特定のインスタ映えスポットやカフェ、体験型施設を巡る傾向があることを発見しました。しかし、これらのスポット間のアクセスがバスの運行本数が少なかったり、乗り換えが不便だったりして、移動に時間がかかっていることが離脱要因の一つであると判明しました。「せっかく来たのに、移動に時間を取られて他の場所を回れなかった」という声が、アンケートにも散見されたのです。

この分析に基づき、観光協会は、まさにこのターゲット層に特化した「〇〇(地名)映え旅周遊パス」を開発しました。このパスは、対象施設へのフリーパスに加え、提携するカフェやショップでの割引特典、デジタルマップへのアクセス権、そしてSNSでの体験投稿を促すハッシュタグキャンペーンを組み合わせたものです。パスのデザインも若年層に響くようなモダンなものにし、デジタルを活用した手軽な利用を推奨しました。

結果として、パスの導入後1年間で、ターゲット層の宿泊者数が前年比で20%増加しました。これは、単なる宿泊客の増加だけでなく、その層がこれまで日帰りで済ませていた旅程を、パスを利用して一泊二日に延長したことによるものです。さらに、パス利用者による平均消費額も35%向上しました。パスが特定の店舗や体験への誘客を促しただけでなく、パス利用者がSNSで発信することで、新たな「映えスポット」としての認知が広がり、追加消費に繋がったと分析されています。この成功により、観光協会は若年層のニーズをデータで捉え、具体的な行動変容を促す施策の有効性を実証しました。

事例2:歴史的観光地DMOによる「イベント効果最大化」戦略

歴史ある祭りで有名なあるDMOでは、祭りの開催時には毎年多くの来場者で賑わうものの、祭り会場周辺の商店街や飲食店への経済波及効果が限定的であることに頭を悩ませていました。DMOのマーケティング責任者であるB氏は、「祭りの賑わいが、なぜ周辺地域にまで広がらないのか」「来場者はどこで何にお金を使っているのか」といった疑問を抱いていました。また、来場者の満足度や具体的な行動データを把握しきれていないため、次年度以降の改善策が見出しにくい状況でした。

B氏は、この課題解決のため、祭り開催中の会場周辺に設置したWi-Fiのログデータ、提携店舗でのキャッシュレス決済データ、イベント後のWebアンケート、さらにはSNS投稿の感情分析を統合的に活用しました。分析の結果、来場者の多くが祭り会場内の屋台や物販ブースのみで消費を完結させ、特定の商店街や飲食店へ移動する傾向が弱いことが判明しました。特に、祭り会場から少し離れた老舗商店街への立ち寄りは極めて少ないことがデータで示されました。また、外国人観光客が特定の時間帯に集中して来場する一方で、多言語対応の情報提供や、彼らが興味を持つであろう「日本文化体験」のようなコンテンツが不足していることも明らかになりました。「英語の案内が少ない」「どこで食事をすればいいか分からない」といった声が、WebアンケートやSNSの感情分析からも多数検出されたのです。

DMOはこれらのデータに基づき、戦略的な改善策を講じました。まず、祭り会場と周辺の商店街を結ぶ「周遊シャトルバス」を増便し、運行頻度を上げることで移動の利便性を大幅に向上させました。さらに、多言語対応のデジタルマップを開発し、観光案内所で配布するとともに、QRコードを通じて簡単にアクセスできるようにしました。このマップには、周辺の飲食店や体験施設の情報が多言語で掲載され、外国人観光客が安心して街を散策できるように配慮しました。加えて、祭りのピーク時間を避けた「早割チケット+提携店舗割引クーポン」を導入し、特に混雑が予想される時間帯をずらして来場してもらい、周辺店舗への誘客を促すインセンティブとしました。このクーポンは、地元の伝統工芸品店や郷土料理店で利用できる仕組みです。

この戦略により、祭り期間中の周辺店舗の売上が前年比で25%増加するという目覚ましい成果を上げました。シャトルバスやクーポンによって、祭り会場だけではない地域全体での消費が促されたのです。さらに、多言語対応の強化と情報提供の充実により、外国人観光客の満足度も15ポイント上昇しました。データに基づく戦略が、単なるイベントの賑わいを超え、地域経済全体への具体的な波及効果を生み出すことを証明した事例となりました。

事例3:島嶼部のDMOによる「リピーター育成」と「閑散期対策」

美しい自然が魅力の島嶼部にあるDMOでは、夏場の繁忙期は海水浴やマリンスポーツで賑わうものの、それ以外の閑散期の集客が大きな課題でした。秋から春にかけては、観光客が激減し、地域経済が停滞する悪循環に陥っていました。DMOの誘客推進課長であるC氏は、この季節変動の激しさに頭を悩ませていました。また、新規顧客獲得には多大な広告費がかかる一方で、リピーターが少なく、持続的な観光振興が難しいことも経営を圧迫していました。

C氏は、この課題解決のため、DMOが収集していた宿泊施設の予約履歴、レンタカー利用データ、アクティビティ参加履歴、そしてDMO公式サイトの閲覧履歴を詳細に分析しました。過去のデータを掘り下げた結果、特定の海洋アクティビティ(例:シュノーケリングやダイビング)を体験した層が、別の時期に「星空観察」や「島ならではの食体験(例:地元の食材を使った料理教室)」といった異なるアクティビティに興味を持つ傾向があることを発見しました。これは、同じ顧客層が季節によって異なる体験を求めている可能性を示唆していました。また、公式サイトのアクセス分析と滞在時間から、特定の顧客層がオフシーズンに「喧騒から離れた静かな滞在」や、自然豊かな環境での「ワーケーション」を求めていることも判明しました。彼らは、長期滞在や非日常的な体験に価値を見出しているようでした。

DMOは、このデータに基づき、多角的なリピーター育成と閑散期対策を展開しました。まず、リピーター向けには、過去の体験履歴に基づいて「前回の体験に関連する特別プラン」をパーソナライズされたメールで配信しました。例えば、夏にマリンスポーツを楽しんだ顧客には、「秋の星空観察ツアーと地元食材を使ったBBQプラン」を提案するなど、興味関心に合わせた情報提供を行いました。さらに、オフシーズン向けには、データで示されたニーズに応える形で「ワーケーション向け長期滞在プラン」や「地元の漁師と一緒に魚を捌く体験型ツアー」「島固有の植物を使ったクラフト体験」といった、これまでになかったユニークなプランを開発。これらのプランは、特定のターゲット層(例:都市部のリモートワーカー、体験重視のファミリー層)に絞ったWeb広告をSNSや特定の旅行サイトで展開することで、効率的に集客を図りました。

結果として、これらの施策により、リピーター率が10%向上しました。一度訪れた顧客が、異なる季節に再訪するサイクルが生まれたのです。さらに、閑散期の宿泊者数が前年比で20%増加し、季節変動による地域の経済的落ち込みが大幅に緩和されました。これにより、夏場に集中していた観光消費が年間を通じて分散され、地域全体の観光消費額が15%底上げされました。データに基づいた緻密な戦略が、島嶼部の持続可能な観光振興に大きく貢献した事例と言えるでしょう。

データ活用を始めるための具体的なステップ

観光協会やDMOがデータ活用を成功させるためには、計画的かつ段階的に進めることが重要です。ここでは、データ活用を始めるための具体的なステップをご紹介します。

  1. 目的の明確化と課題の特定: まず、「なぜデータ活用をするのか」という目的を明確にしましょう。売上アップ、リピーター増加、閑散期対策、満足度向上など、具体的な目標を設定します。そして、その目標達成を阻んでいる具体的な課題を特定します。

    • : 「若年層の宿泊者数が少ない」という課題に対し、「若年層のニーズを把握し、宿泊に繋がる魅力的な周遊プランを開発する」という目的を設定。
  2. 収集すべきデータの洗い出しと準備: 目的と課題が明確になったら、それを解決するために必要なデータは何かを洗い出します。既存のアンケート結果、Webサイトのアクセス解析データ、SNSの投稿、宿泊施設からの予約データなど、すでに手元にあるデータがないか確認します。不足している場合は、新たにどのようなデータを収集すべきか計画します。

    • : 若年層のニーズ把握のため、SNSのハッシュタグ分析、交通系ICカードの利用データ、Webアンケートの実施を検討。
  3. データ収集と統合: 洗い出したデータを実際に収集し、必要に応じて統合します。異なる形式のデータを一元的に管理できるデータベースやツールを導入することで、後の分析がスムーズになります。データ収集の際は、個人情報保護やプライバシーへの配慮を徹底することが重要です。

    • : 交通系ICカード会社との連携、SNS分析ツールの導入、アンケートフォームの準備。
  4. データ分析と洞察の抽出: 収集したデータを分析し、隠れた傾向や課題、新たな機会を発見します。単純な集計だけでなく、異なるデータ同士を掛け合わせて相関関係を見つけ出したり、時系列での変化を追ったりすることで、深い洞察が得られます。専門的な知識が必要な場合は、外部のDXコンサルタントやデータ分析専門家との連携も有効です。

    • : 「20代女性はカフェと特定の体験スポットを巡るが、移動に時間がかかっている」という課題を発見。
  5. 施策の立案と実行: データ分析から得られた洞察に基づき、具体的な観光振興施策を立案し、実行します。この際、ターゲット層、提供する価値、プロモーション方法などを明確に設計することが重要です。

    • : 「20代女性向け周遊パス」の開発、デジタルマップの提供、SNSでのキャンペーン実施。
  6. 効果測定とフィードバック: 実行した施策がどのような効果を生んだのかを、データに基づいて測定します。目標達成度を評価し、成功要因や改善点を特定します。この結果を次の施策に活かすことで、PDCAサイクルを回し、継続的に観光振興の質を高めていきます。

    • : 周遊パス導入後の宿泊者数、平均消費額の変化をモニタリングし、成功を数値で確認。

データ活用は一度行えば終わりではありません。観光客のニーズや社会状況は常に変化するため、継続的にデータを収集・分析し、施策を改善していくサイクルを確立することが、持続可能な観光地経営には不可欠です。まずはスモールスタートでも構いません。できる範囲からデータを活用し、貴地域の観光振興の新たな一歩を踏み出しましょう。

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