【給与計算・労務管理向け】失敗しないシステム開発会社の選び方ガイド
給与計算・労務管理システムの課題とシステム開発の必要性
企業の持続的な成長とコンプライアンス遵守において、給与計算・労務管理は極めて重要な業務です。しかし、この分野は多くの企業で複雑化し、効率化の壁に直面しています。システム開発の必要性が高まる背景には、主に以下の3つの課題が存在します。
複雑化する法改正と多様な雇用形態への対応
給与計算や労務管理を取り巻く環境は、常に変化し続けています。
- 毎年のように変わる社会保険料率、税法、労働基準法への追従の難しさ
- 例えば、社会保険料率は毎年見直され、最低賃金も地域ごとに変動します。これらの法改正を正確に把握し、給与計算や各種手当に反映させる作業は、人事・労務担当者にとって大きな負担です。わずかな計算ミスが未払い賃金問題や税務調査のリスクにつながることもあります。
- 正社員、契約社員、パート、アルバイト、派遣社員など、多様な雇用形態ごとの給与計算・労務管理の煩雑さ
- 現代の企業では、多様な働き方を許容するために、複数の雇用形態を導入しています。それぞれの雇用形態に応じて異なる社会保険の加入条件、労働時間管理、有給休暇の付与日数などを管理することは、手作業では限界があります。特に、「同一労働同一賃金」の原則が強化されたことで、複雑な手当計算や待遇差の説明責任も増大しています。
- テレワークやフレックスタイム制導入による勤怠管理の複雑化
- 働き方改革の推進により、テレワークやフレックスタイム制を導入する企業が増えました。これにより、従来の出社・退社時刻を記録するだけの勤怠管理では対応しきれず、従業員ごとの労働時間や勤務場所、休憩時間の管理が一段と複雑化しています。労働時間の正確な把握は、過重労働防止や健康経営の観点からも不可欠です。
手作業によるミス・属人化のリスクと効率化の限界
手作業や既存ツールでの管理は、一見コストがかからないように見えますが、長期的に見ると多くのリスクと非効率を生み出します。
- エクセルや手計算によるヒューマンエラーの発生、再計算の手間
- ある中堅サービス業の労務担当者は、「毎月、何百人もの従業員の給与計算をエクセルで行っているが、数式ミスや入力ミスが後を絶たない。一度ミスが見つかると、全員分の再計算が必要になり、締め切り間際に徹夜で対応することもある」と語っていました。このようなヒューマンエラーは、従業員の不信感につながるだけでなく、会社の信頼を大きく損なう可能性があります。
- ベテラン担当者に業務が集中し、引き継ぎや教育が困難な状況
- 給与計算や労務管理の知識は専門性が高く、特定のベテラン担当者に業務が集中しがちです。これにより、その担当者が不在の際に業務が滞ったり、退職時の引き継ぎが困難になったりする「属人化」の問題が発生します。新たな担当者の教育にも膨大な時間とコストがかかります。
- 定型業務に多くの時間を費やし、戦略的な人事・労務業務に集中できない
- 給与計算や勤怠集計といった定型業務に追われていると、本来注力すべき人材育成、組織開発、エンゲージメント向上といった戦略的な人事・労務業務に時間を割くことができません。これは企業の競争力低下にも繋がりかねない深刻な問題です。
既存システムの老朽化と他システムとの連携不足
多くの企業が抱えるもう一つの課題は、既存システムの限界です。
- 古いオンプレミス型システムの保守・運用コストの増大、セキュリティリスク
- 数十年前に導入されたオンプレミス型システムは、最新のOSやハードウェアとの互換性が低く、保守・運用に多額の費用がかかることがあります。また、セキュリティパッチの適用が遅れることで、情報漏洩などのセキュリティリスクも高まります。
- 勤怠管理、人事評価、会計システムなどとのデータ連携が不手際で、二重入力やデータ不整合が発生
- 給与計算システムと勤怠管理システム、会計システムがそれぞれ独立して稼働している企業は少なくありません。この場合、同じデータを複数のシステムに入力する「二重入力」が発生し、時間と手間がかかるだけでなく、システム間のデータ不整合を引き起こす原因となります。データ連携不足は、経営判断の遅延にもつながります。
これらの課題を解決し、より効率的で正確な給与計算・労務管理を実現するためには、自社のニーズに合ったシステムを開発・導入することが不可欠です。
システム開発会社選びで失敗する原因とリスク
給与計算・労務管理システムは企業の根幹を支える重要なインフラです。システム開発会社の選定を誤ると、多大な時間とコストを無駄にするだけでなく、業務が停滞し、従業員の信頼を失うといった深刻なリスクを招く可能性があります。ここでは、失敗につながる主な原因とリスクを解説します。
自社の要件定義が不明確なまま開発を進めるリスク
システム開発における最も一般的な失敗原因の一つが、要件定義の不十分さです。
- 「とりあえず最新のものを」といった漠然とした要望で、自社に合わないシステムが開発される
- 「他社がクラウド型を導入したから」「AIが話題だから」といった理由で、明確な目的意識なくシステム開発を進めると、自社の独自の給与体系や業務フローに合わない汎用的なシステムが導入されてしまいます。結果として、使い勝手が悪く、かえって業務効率が低下するケースも少なくありません。
- 必要な機能や業務フローの洗い出しが不十分で、開発途中で追加費用が発生
- 要件定義の段階で、現状の業務フローや将来的に必要となる機能を十分に検討しなかったため、開発が進むにつれて「この機能も必要だった」「この計算ロジックに対応できていない」といった問題が浮上することがあります。これにより、開発スコープが拡大し、当初の見積もりを大幅に上回る追加費用が発生するリスクが高まります。
- 現場のニーズを反映できず、導入後に使われないシステムになる
- システム開発プロジェクトが、経営層や一部の担当者だけで進められ、実際にシステムを利用する現場の担当者の意見が十分に反映されないことがあります。その結果、「操作が複雑」「既存業務と乖離している」といった不満が噴出し、導入されたシステムがほとんど使われなくなるという最悪のシナリオも起こり得ます。
専門知識不足のベンダー選定によるトラブル
給与計算・労務管理システムは、法規制や業界特有の慣習が深く関わる分野です。
- 給与計算・労務管理に関する法規制や実務に疎い開発会社を選んでしまう
- システム開発の技術力は高くても、給与計算や労務管理に関する専門知識が不足している開発会社に依頼すると、法改正への対応漏れや、誤った計算ロジックが組み込まれるリスクがあります。これは、未払い賃金問題や社会保険料の過不足など、企業のコンプライアンスに直結する重大な問題を引き起こしかねません。
- 業界特有の複雑な計算ロジックや制度(変形労働時間制、インセンティブ、退職金など)に対応できない
- 例えば、製造業における複雑なシフト制や変形労働時間制、サービス業の歩合給やインセンティブ、医療機関の夜勤手当など、業種や企業ごとに異なる給与体系は多岐にわたります。これらの特殊な計算ロジックや制度に対応できないシステムは、導入しても意味がありません。専門知識の不足は、これらの細かな要件をヒアリングし、適切にシステムに落とし込む能力の欠如を意味します。
- 納期遅延や品質問題、コミュニケーション不足による認識齟齬
- 専門知識が不足していると、プロジェクトの見積もりや計画が甘くなりがちです。結果として、想定外の問題が発生し、納期が大幅に遅延したり、品質が低くバグが多いシステムが納品されたりするトラブルに発展します。また、専門用語が通じず、コミュニケーションがスムーズにいかないことで、要件の認識齟齬が生じやすくなります。
コストばかりを重視した結果、品質やサポートが不足するケース
コストは重要な要素ですが、それだけで判断すると後悔する結果を招きます。
- 初期費用が安い開発会社を選んだ結果、開発後の不具合修正や法改正対応に高額な費用がかかる
- 安価な開発費用を提示する会社の中には、開発品質が低い、あるいはアフターサポートが不十分なケースがあります。開発後にシステムの不具合が頻発したり、法改正への対応が別途高額な費用として請求されたりすることで、結果的に当初の予算を大きく超えてしまうことがあります。
- 導入後のサポート体制が不十分で、トラブル発生時に迅速な対応が期待できない
- システムは導入して終わりではありません。日常的な運用で疑問が生じたり、予期せぬトラブルが発生したりすることは避けられません。サポート体制が不十分な開発会社を選んでしまうと、問題解決に時間がかかり、業務が停滞するだけでなく、従業員からの不満が募る原因となります。
- 将来的なシステムの拡張性や柔軟性が低く、事業成長に対応できない
- 初期費用を抑えるために、最低限の機能しか持たないシステムを開発すると、企業の成長や事業の変化に対応できなくなる可能性があります。従業員数の増加、新たな拠点開設、M&Aによる組織変更など、将来的なニーズに対応できないシステムは、数年後には再度システム刷新が必要となり、結果的に二重のコストがかかってしまいます。
【重要】システム開発会社の選定基準とチェックポイント
給与計算・労務管理システム開発で失敗しないためには、単に技術力があるだけでなく、専門性とビジネス理解が深いパートナーを選ぶことが不可欠です。ここでは、開発会社を選定する際に特に重視すべき基準と具体的なチェックポイントを解説します。
業界特化の知識と実績の有無
給与計算・労務管理は、法規制や企業文化に深く根ざした専門性の高い分野です。
- 給与計算・労務管理に関する専門知識(社会保険、税法、労働基準法など)の深さ
- 開発会社が、最新の社会保険制度、所得税法、労働基準法などの知識をどれだけ持ち合わせているかを確認しましょう。単に法律を知っているだけでなく、それがシステム設計にどう反映されるべきか、具体的な提案ができるかが重要です。
- チェックポイント:
- 最新の法改正情報を常にキャッチアップし、システムのアップデートに反映する体制があるか?
- コンプライアンスに関する具体的な相談に乗れる専門家(社会保険労務士など)との連携があるか?
- 複雑な手当計算や控除に関する疑問に対し、明確な回答や提案ができるか?
- 特定業種(製造業のシフト制、サービス業のインセンティブ、医療機関の夜勤手当など)の給与体系・労務管理への理解
- 自社の業種特有の給与体系や勤務形態(例:製造業の3交代制、サービス業の変形労働時間制、飲食店のアルバイト管理)への理解が深いかを確認します。これにより、汎用的なシステムでは対応しきれない細かな要件もスムーズに実現できます。
- チェックポイント:
- 自社の業種での開発実績があるか、または類似の複雑な要件に対応した経験があるか?
- 特定の業種における課題解決のために、どのようなカスタマイズ提案を行ってきたか?
- デモンストレーションで、自社の給与体系を想定した具体的な計算例を示せるか?
- 過去の給与計算・労務管理システム開発実績、導入事例、顧客からの評価
- 実績は、開発会社の信頼性と専門知識の裏付けとなります。具体的な導入事例を通じて、どのような課題を解決し、どのような成果を出してきたかを確認しましょう。
- チェックポイント:
- 開示可能な導入事例は豊富にあるか?(特に自社と類似の企業規模や業種)
- 事例の詳細(導入前の課題、導入経緯、導入後の成果)を具体的に説明できるか?
- 可能であれば、既存顧客へのヒアリングやリファレンスチェックに対応してもらえるか?
要件定義力とコミュニケーション能力
プロジェクトの成否は、開発会社との密な連携と、自社の要望を正確にシステムに落とし込む能力にかかっています。
- 自社の現状の課題や将来のビジョンを深くヒアリングし、具体的なシステム要件に落とし込む提案力
- ただ要望を聞くだけでなく、潜在的な課題や将来的なニーズを掘り起こし、それを解決するための最適なシステム要件を具体的に提案できるかが重要です。
- チェックポイント:
- ヒアリングシートが詳細で、現状業務フローの洗い出しに積極的か?
- 漠然とした要望に対し、具体的な機能や実現方法を提案できるか?
- 「なぜこの機能が必要なのか」「この機能で何が解決できるのか」といった本質的な議論ができるか?
- 開発プロセスにおける進捗報告の透明性、トラブル発生時の迅速な情報共有と解決策提示
- 開発が始まってからの進捗状況が分かりやすく、定期的に報告される体制が整っているかを確認しましょう。トラブル発生時の対応力も、重要な判断基準です。
- チェックポイント:
- 進捗報告の頻度、形式(定例会議、レポートなど)は明確か?
- 課題やリスクが顕在化した際に、隠蔽せず迅速に情報共有し、解決策を提示する姿勢があるか?
- プロジェクト管理ツールなどを活用し、リアルタイムでの情報共有が可能か?
- 担当者とのコミュニケーションの円滑さ、柔軟なカスタマイズ対応力
- 担当者同士の相性や、疑問点に対する回答の迅速さ、柔軟な対応力もプロジェクトの成功には不可欠です。
- チェックポイント:
- 質問に対し、専門用語を避け、分かりやすく説明してくれるか?
- 要望や変更依頼に対し、実現可能性や影響範囲を丁寧に説明し、柔軟に対応しようとする姿勢があるか?
- レスポンスタイムは適切か?
費用対効果とサポート体制
システムは導入後の運用が長期にわたるため、初期費用だけでなく、保守運用費用や将来的な拡張性を含めた費用対効果を評価することが重要です。
- 見積もりの透明性、内訳の明確さ、隠れたコストの有無
- 見積もりが一式計上ではなく、機能ごとの費用、開発工数、人件費、ライセンス費用などが明確に提示されているかを確認しましょう。後から追加費用が発生しないよう、事前に隠れたコストがないかを徹底的に確認することが重要です。
- チェックポイント:
- 見積もりの項目は詳細で、何にいくらかかるかが明確か?
- 追加費用が発生する可能性のある項目(例:要件変更、データ移行費用など)について、事前に説明があるか?
- 契約外のサービスやサポートについて、その費用体系が明確か?
- 開発後の保守・運用サポート体制(ヘルプデスク、オンサイト対応など)、法改正対応の体制
- システム導入後も、日々の運用サポートや、法改正時のシステム改修は必須です。サポート範囲、対応時間、費用などを具体的に確認しましょう。
- チェックポイント:
- サポート窓口の営業時間、対応方法(電話、メール、チャットなど)は明確か?
- システムに不具合が発生した場合の対応フロー、復旧目標時間は設定されているか?
- 法改正時のシステム改修は、保守契約に含まれるか、別途費用が発生するか?
- システムの安定稼働を保証するSLA(サービス品質保証)の有無、セキュリティ対策
- 特にクラウド型システムの場合、SLAの有無はシステムの信頼性を示す重要な指標です。また、個人情報を取り扱うため、セキュリティ対策は最優先で確認すべき項目です。
- チェックポイント:
- システムの稼働率や障害発生時の対応についてSLAが締結されるか?
- データ暗号化、アクセス制限、脆弱性診断など、どのようなセキュリティ対策が講じられているか?
- 個人情報保護に関するガイドラインや認証(Pマーク、ISO27001など)を取得しているか?
【給与計算・労務管理向け】システム開発会社の選び方:実践ガイド
ここからは、実際に給与計算・労務管理システムの開発会社を選定し、導入を進めるための具体的なステップを解説します。この実践ガイドに沿って進めることで、失敗のリスクを最小限に抑え、自社に最適なシステムを構築できるでしょう。
自社の現状と課題、将来のビジョンを明確にする
システム開発を始める前に、最も重要なのが「自社を知る」ことです。漠然とした要望では、本当に必要なシステムは生まれません。
- 現在の給与計算・労務管理業務フローの洗い出しとボトルネックの特定
- まず、現在の給与計算、勤怠管理、人事評価、入退社手続きなど、すべての労務関連業務のフローを詳細に書き出しましょう。誰が、いつ、どのようなツールを使って、どのような作業をしているのかを可視化します。その中で、「時間がかかりすぎている」「ミスが多い」「特定の担当者にしかできない」といったボトルネック(課題)を具体的に特定します。
- 例: 「毎月、勤怠データのエクセル集計に20時間かかり、その後の給与システムへの手入力にさらに10時間。この手入力の段階で毎月平均3件のミスが発生している。」といった具体的な数値を伴う課題を洗い出します。
- システム導入で達成したい具体的な目標(例: 〇%の業務時間削減、〇%のコスト削減、コンプライアンス強化など)
- システム導入によって何を改善したいのか、具体的な目標を設定します。数値目標を設定することで、開発会社との目標共有が容易になり、導入後の効果測定も可能になります。
- 例: 「勤怠集計と給与計算にかかる業務時間を30%削減する」「法改正対応における担当者の調査・改修工数を年間50時間削減し、コンプライアンスリスクをゼロにする」「ペーパーレス化により、年間10万円の印刷・郵送コストを削減する」など。
- 将来的な事業拡大、拠点増加、雇用形態の変化に対応できる拡張性の要望
- システムは一度導入すると長く使うものです。今後、従業員数が増加する可能性、新たな事業拠点が増える可能性、多様な雇用形態を導入する可能性などを考慮し、システムがこれらの変化に柔軟に対応できるかを検討しておく必要があります。
複数の開発会社から提案を受け、徹底比較する
自社の要件が明確になったら、複数の開発会社にアプローチし、提案内容を比較検討します。
- RFP(提案依頼書)を作成し、自社の要件を具体的に提示
- RFPは、自社の現状、課題、システム導入の目的、具体的な要件(機能、性能、セキュリティ、予算、納期など)を開発会社に正確に伝えるための重要書類です。詳細なRFPを作成することで、各社からの提案内容を比較しやすくなります。
- RFPに含めるべき主な項目:
- 会社概要、事業内容
- 現状の給与計算・労務管理業務の課題とボトルネック
- システム導入の目的と達成したい目標
- 必須機能、希望機能(具体的な業務フローに沿って記述)
- 既存システムとの連携要件
- 予算、希望納期
- セキュリティ要件、保守運用要件
- 各社の提案内容(機能、技術スタック、開発体制、費用、納期)を詳細に比較
- RFPに基づいた各社からの提案書を、前述の「選定基準とチェックポイント」に沿って詳細に比較します。機能の網羅性だけでなく、提案された技術スタック(開発言語、フレームワークなど)が将来性やメンテナンス性において適切か、開発体制は十分か、費用と納期は現実的かなどを多角的に評価します。
- デモンストレーションの実施や、既存顧客へのヒアリングを通じて、実際の使い勝手やサポート体制を確認
- 提案書だけでは分からないシステムの操作性や使い勝手、開発会社の雰囲気や対応力を確認するために、デモンストレーションの実施を依頼しましょう。可能であれば、開発会社が過去にシステムを導入した既存顧客へのヒアリングを申し出て、実際の導入効果やサポート体制に関する生の声を聞くことも有効です。
契約時の注意点と確認事項
最終的に依頼する開発会社が決まったら、契約書の内容を慎重に確認します。
- 開発範囲、納期、費用、支払い条件、検収基準の明確な取り決め
- 契約書には、開発するシステムの具体的な範囲(どの機能までを開発対象とするか)、納期(各フェーズの完了時期を含む)、費用総額と支払いスケジュール、そしてシステムが完成したと見なす「検収」の基準を明確に盛り込む必要があります。曖昧な表現はトラブルの原因となります。
- 知的財産権の帰属、瑕疵担保責任、秘密保持契約(NDA)の内容確認
- 開発されたシステムの著作権や特許などの知的財産権がどちらに帰属するのか、システムに不具合(瑕疵)があった場合の対応責任(瑕疵担保責任)はどうなるのかを明確にします。また、給与や人事情報といった機密性の高い情報を扱うため、秘密保持契約(NDA)の内容も厳しくチェックしましょう。
- 開発後の運用・保守契約の内容(サポート範囲、費用、対応時間など)を具体的に詰める
- システム導入はゴールではなくスタートです。運用開始後のシステム保守、トラブル対応、法改正時のアップデート、機能追加などのサポート体制について、具体的な契約内容を詰めます。年間保守費用、サポートの範囲(ヘルプデスク、オンサイト対応、リモート対応など)、対応時間、SLA(サービス品質保証)の有無などを詳細に確認し、将来的なランニングコストも考慮に入れます。
【給与計算・労務管理】システム導入の成功事例3選
ここでは、実際に給与計算・労務管理システムを導入し、大きな成果を上げた企業の事例を3つご紹介します。これらの事例は、適切なシステム開発会社を選び、自社の課題に寄り添ったシステムを構築することの重要性を示しています。
ある製造業の人事部における勤怠管理の自動化
- 背景と課題: 関東圏に複数の工場を持つある製造業の人事部では、複雑なシフト制(2交代・3交代制、変形労働時間制など)を採用しており、毎月の勤怠集計に膨大な時間を費やしていました。人事部長は「毎月の勤怠締め作業に3日もかかっている上に、手作業での入力ミスや計算ミスが多発し、従業員からの残業時間に関する問い合わせ対応にも追われている。特に、労働基準法の改正に対応した正確な残業時間や深夜手当の計算は、ヒューマンエラーのリスクが常に伴い、このままでは重大な未払い残業のリスクにつながると不安を感じていた」と悩みを語っていました。年間で約720時間(3日×12ヶ月×2名)もの工数が勤怠集計に費やされ、その間に発生する平均10件のミス修正にも追加で時間がかかっていました。
- 導入の経緯: 人事部長は、製造業の複雑なシフトパターンと労働時間管理に関する深い知識と実績を持つシステム開発会社に相談しました。この開発会社は、既存の打刻システム(タイムレコーダー)とシームレスに連携し、従業員ごとの複雑なシフトパターンをシステム上で設定できる機能を提案。自動で残業時間、深夜手当、休日出勤手当を労働基準法に則って正確に計算する機能をカスタマイズ開発しました。また、従業員が自身のPCやスマートフォンから勤怠状況や有給休暇残日数をリアルタイムで確認できるセルフサービス型のポータル機能も導入し、問い合わせ対応の負担軽減も図りました。
- 成果: このシステム導入により、勤怠集計にかかる時間を80%削減することに成功しました。具体的には、月3日かかっていた締め作業が、わずか半日程度で完了するようになりました。手作業による計算ミスがゼロになり、従業員からの勤怠に関する問い合わせも半減。これにより、人事担当者は月に約20時間もの時間を削減し、より戦略的な人事施策や従業員エンゲージメント向上施策に集中できるようになりました。未払い残業のリスクも大幅に低減され、コンプライアンス体制が飛躍的に強化されました。
とあるサービス業の人事部門における給与計算の効率化
- 背景と課題: 全国に多店舗展開するあるサービス業の人事部門では、店舗ごとに異なるインセンティブ制度や歩合給、役職手当、さらに頻繁な入退社により、給与計算が極めて複雑化していました。法改正への対応も手作業で行っており、給与担当者は「店舗ごとに異なる給与規定やインセンティブ計算が複雑で、毎月給与計算期間は残業続き。特に月末月初は繁忙期で、月に平均40時間以上の残業が発生している。法改正のたびに手作業で計算ロジックを更新しており、もしミスがあれば従業員の信頼を失うだけでなく、損害賠償問題に発展する可能性もあり、常に大きな不安を抱えていた」と語っていました。年間で数百万円に上る給与計算のアウトソーシング費用も、経営を圧迫していました。
- 導入の経緯: この課題に対し、人事部門は給与計算の複雑なロジックに対応できる豊富な実績を持つシステム開発会社に依頼しました。開発会社は、各店舗の給与規定やインセンティブ計算方法を詳細にヒアリングし、それらを柔軟に設定・変更できるカスタマイズ性の高い給与計算システムを開発。特に、インセンティブの計算ロジックは多段階にわたる複雑な条件分岐にも対応できるよう設計され、担当者が簡単に条件変更できる管理画面も実装されました。さらに、法改正時には自動で計算ロジックが更新される機能を組み込むことで、担当者の負担と法改正対応漏れのリスクを大幅に軽減しました。
- 成果: このシステム導入により、給与計算業務の工数を約40%削減することに成功しました。これにより、給与担当者の残業時間は月平均20時間以下に減少し、精神的な負担も大きく軽減されました。計算ミスはほぼゼロになり、従業員からの給与に関する問い合わせも大幅に減少。法改正への自動対応機能により、年間で約100時間かかっていた法改正調査・対応業務が不要となり、コンプライアンス体制も強化されました。結果として、年間で数百万円かかっていた給与計算アウトソーシング費用も大幅に削減され、年間で約300万円のコスト削減を実現しました。
あるIT企業の総務部における人事データの一元管理と採用業務効率化
- 背景と課題: 急成長中のあるIT企業では、従業員数が年間20%ペースで急増しており、人事データが採用管理ツール、勤怠システム、給与システム、人事評価シートなど複数のツールに分散していました。総務部の担当者は、「従業員が増えるたびに各システムへのデータ入力の手間が増え、各データの整合性チェックにも月に約15時間もの時間がかかっている。特に新入社員の入社手続きは、複数のシステムに情報を手入力する必要があり、ヒューマンエラーも発生しやすかった。採用から入社後のデータ連携がスムーズでなく、本業である戦略的な人事企画に時間が割けない」と悩んでいました。情報の分散は、経営層の迅速な意思決定を妨げる要因にもなっていました。
- 導入の経緯: 総務部は、人事情報の一元管理と採用プロセスの効率化に強みを持つシステム開発会社に相談しました。この開発会社は、既存の採用管理システムとのAPI連携を前提に、給与計算、勤怠管理、人事評価、従業員情報管理を統合したクラウド型HRM(Human Resource Management)システムをカスタマイズ開発することを提案。特に、採用決定後の候補者データが自動で従業員情報に反映され、入社手続きに必要な雇用契約書や社会保険関連書類もシステムから自動生成される機能を実装しました。これにより、データ入力の手間を大幅に削減し、入社手続きのペーパーレス化も推進しました。
- 成果: 新入社員の入社手続きにかかる時間を約60%削減することに成功しました。具体的には、一人あたり約3時間かかっていた手続きが、約1時間強で完了するようになりました。人事データ入力の手間は大幅に減少し、各システムのデータ整合性も飛躍的に向上。総務部は定型業務から解放され、従業員エンゲージメント向上のための企画立案や、組織活性化のための施策検討など、より戦略的な業務に年間で約200時間もの時間を充てられるようになりました。結果として、従業員のオンボーディング体験も向上し、入社初期の離職率低下にも貢献しました。また、人事データの一元化により、経営層はリアルタイムで人材データを把握できるようになり、迅速な意思決定が可能となりました。
まずは無料で相談してみませんか?
「AIやDXに興味はあるけど、何から始めればいいかわからない」 「自社の業務にAIが本当に使えるのか知りたい」
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